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Neil Young In Brixton 2002
プロローグ
このロンドン行きに関しては実行前よりかなり複雑に絡み合った事情が発生していた。
まず第一にチケットの発券と同日の午後に我亭主クリス君の転勤そして仕事の開始が20日の月曜日というなんとも皮肉なご通達を受けてしまう。
いくらなんでも転勤翌日に「風邪で休ませてくれぇ」なんてことは正直をまるで絵に描いたようなクリス君には到底出来ないお話だった。
そんな訳でhirokoは亭主を置いて一人で参加することになる。
片割れのチケットはDrニール君軍団のミス・リンジーが引き継いだ。第二に、私達は5月11日にアバディーンを引き払ってスコットランドの首都であるエジンバラへと向かう。
家財道具一式を月極のストーレッジに放り込み、人間様はホリデイ用のラクシャリーなアパートメントで2週間を過ごす。
そしてこの2週間の間に我々の新居を探し、引越しに持っていかねばならんのだ。
全く運良く2つ目のヴューイングで新居の契約に漕ぎ着け、引越しは25日と決まった。
何も心配することなくニールを楽しんでくることが出来る運びとなった。第三は、hirokoはそもそも一匹狼でグループ行動が大嫌いときている。
二人でHOLIDAYに出掛けてもまぁ、殆どは一緒に行動するが、時折別行動を楽しんでいる。
ロンドンのラスティーであるマーク君から「ブリクストンでのラスティーズの集い」のお誘いを受ける。
いつもいろんなバリエーションのVIDEOを送ってもらっているレギュラーなお友達である。
「うん!行く!行く!」と答えていた。
ところがどすこい!
アバディーンのDrニール君がこれを承知しない。
彼はアバディーンからジム君とリンジーを伴ってLUTONに入る。しかるにエアポートで到着を待てと言うのである。
ちょいと待った!あたいは子供やないんやで!LONDONは初めてやないし、一人で行けるから!と主張するのだが、
何せ彼等はアンチ・ラスティー派。
ラスティーの集いは参加を拒否。だが、LUTONに住んでいるプロのブートレグ屋さんのNICK君と行動を共にするというのである。
NICK君は我々のアッシーをしてくれるというのだ。
(アッシーなんかいらない!あたいは一人で・・・・・)
ところがクリス君までもブリクストンはアブナイから一人では行って欲しくないと言い出す始末。
Drニール君も口を揃えてアブナイアブナイを連発する。
さぁて、どうしたもんか・・・・全く時を示し合わせたかのようにTVではBRIXTONの犯罪番組が放映される。
これを見た途端、hirokoは降参し白旗を振った。
マジで当日の2日前に殺人まで起こっている。
これはもうカンネンしないといけない。
それに涙を飲んだクリス君の願いもこの際聞き入れなければなるまい。マークには会場で会えるだろう。
Drニール君達と3日間も耐えれるかどうか・・・
だが肝心要はニールのコンサートだ。あとはどうでもええこっちゃ!と自分自身に殆ど念仏のように言い聞かせていた。
5月21日火曜日。
待ちに待ったニールのコンサート。
UKの超格安航空会社EASY JET。
スコットランドの首都であるエジンバラを7時45分に離陸する。
機内はサラリーマンだらけである。
1時間のフライトで無事にLUTONエアポートに着陸した。
ここでアバディーンから飛んでくるDrニール君軍団を待った。
久しぶりの再会を喜び(?)、ニック君の車を待つ。
彼に伴われて彼の行き付けのPUBでパイント。こんな朝からビールかえ?
すっかり軍団は嫁から開放されたティーンエイジャーの如くホリデイ・モードに入っていた。
ランチを執って、ニック君のアパートでくつろぐ。
さすがプロのブート屋さんである。オーディーオの隋の隋を極めているではないか!
天井近くまで積み上げられた20は超える機械類。まるでレコーディングスタジオである。
勿論彼も今夜のコンサートにDATを従えて参加する。
「ねぇ、それ分けてくんない?」とは金を払わない限り言えない。
そこがラスティーと違うところである。
ラスティーはニールのブートで商売はしない。
hiroko自身もMDを従えているので、これで満足だ。ロンドンへと車を進め、PUBへとなだれ込む。
夕食はメキシカン。
昨年もグラスゴー公演の前にもメキシカンだった気がする。
さぁて、これから地下鉄でブリクストン入りだ。
各々がスリにすられないように財布や携帯電話、貴重品を隠し、セキュリティー・チェックを逃れるためのマシン隠しに没頭する。
ブリクストンに到着し、小さな地下鉄の駅を上がっていくとおびただしい数のニールヤングのTーシャツを着込んだ中年おじさん達に交じってこれまた通常では考えられないくらいの数のおまわりさんがわさわさしていた。
何せ2日前に殺人があったのだ。
駅を出て道路に出た途端、軍団はアカデミーに向かってまっしぐら。
ここは黒人街と言ってもいいほど、路上には黒人達が何をするでもなく通行人を見据えているって感じだった。
hirokoは亀の甲羅のようにDrニール君のどでかい背中にへばりついて歩いていた。雨がパラついている。
セキュリティー・チェックはやはりここはロンドンだ。
しっかり鞄の中を探られる。
リンジーは前もってミネラル・ウォーターのボトルを鞄にしのばせて居たのだが、没収。
飲み物は会場内で売られているBeerを買えってことだ。
ロンドンやなぁ。
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会場内はかなり狭い。
ロビーではニールの新しいCD ARE YOU PASSIONATE のTーシャツが売られている。
白が基調のものと黒が基調のもの、それに女性用の短いシャツ、そしてキャップというマーチャンダイズだった。
中に入るとうわぁ、狭い!が第一印象。
だが、こいつはGOODである。
かなりステージが身近に感じられるし、床が前列から後列へと斜めに上がっているので少々背が低くても何とか視界内に納まりそうだ。我々はプロのブート屋のアドバイスに従って陣取る位置を確保する。
途中で「おしっこ」したくないので、飲み物は断念。
すぐさま前座バンドのBRMCの演奏が始まってしまった。
マークを探している暇はなかった。
クリス君からこのBRMCのレコーディングも頼まれていたので、すかさずRECボタンを押す。
ニューヨークをベースに活躍する新進ROCKバンドである。
音はかなり強烈でベースとドラムが異様にでかい。
回りの殆どの観客は中年である。
このテの音は彼等の娘や息子達のサウンドだ。
お父様、お母様達は揃って耳を塞いでしまう。
hirokoは中年ではあるが、元々ハードロックのドラマーだったので、このテの音はお手のものときている。
Drニール君軍団で唯一横揺れしながら乗っていた。
演奏は9曲。
ようやく前座が退き、回りは混んでくる。
斜め前方に顔見知りを確認した。
名前は忘れたが、昨年のフランクフルトで知り合ったラスティー君のコンピューターエイジの友達だ。
これは戻ったら、彼に報告しなければ・・・・前座が退いてもなかなかニールは出てこない。
朝早いフライトと昼寝なしで突入した立ち見のコンサートである。
始まる前からしっかりと疲れ切ってしまっていた。
午後9時、ようやくニールが現れた。
大歓声が立ち上る。
オープニングは古い曲である。
「When you dance」ペギーとアストリッドのバックコーラスが冴える。
黒いブーツ、ミニスカート、赤いブラウスの上には黒の革ジャンといういでたちだ。
ニールは袖なしの黒いTーシャツ、勿論ハットは被っている。
思わず青春時代が脳裏をかすめる。ああ、この曲好きやった!今も大好き!そのまま2曲目に突入。「The Loner」雄たけびが至るところであがる。
3曲目はNEWアルバムから「Differently」横揺れの曲だ。キーボードが光る。
曲が終わり、初めてニールが話し掛ける。
いつもながらの「How you Doing?」「Thanks for coming」
4曲目は「Sleeps with Angels」演奏後再びニールは「Thanks for coming」とぼそっとつぶやく。
5曲目は再びおNEWからアルバムタイトルの「Are you passionate?」しっとり聞かせる曲だ。「戻って来れて嬉しいよ。ありがとう。実際ここでは遣ったことないんだけど、だけど戻ってきたよ。」
うける!
6曲目は昨年のツアーで御存知「Goin’home」。
昨年グラスゴーで初めて聞いてからすっかりhirokoのお気に入りになった曲だ。
やっぱりクレイジー・ホースバージョンよりもスローになっている。「聞いたんだけど、ここは物騒で11:30までにこの辺はから安全に出て行くのは難しいらしいってね。だけど心配いらないぜ。俺達は1時までやるのさ・・・」
雄たけびがヒューヒュー!
「冗談だよ!冗談・・・・・」
7曲目は飛びたくなる曲。
「Cinamon Girl」足の痛みを堪えて、襟元のマイクを忘れて飛び跳ねる。
8曲目は出たぁ・・・「Cortez killer」
(好きな方ごめんなさい!)
hirokoにとってはこの曲は勘弁してもらいたい。
疲れがまたたくまにドバーっと襲ってくる。
脚が痛い。立っているのがかなり堪える。アップテンポの曲なら少々の疲れもぶっ飛ぶのだが、体中の筋肉や器官がブツブツ文句を言い始める。
全くインドアだというのに煙草がモクモク・・・モクモクだけならいいが、殆どがカナビスだ。
この匂い・・・耐えられねぇーぞぉー!
何せこんなに狭いホールにぎっしり詰め込めるだけ人間んが詰め込まれていて、それだけでもかなり暑く、汗がボトボト
したたり落ちる。
暑さと疲れと喉の渇きと酸素欠乏。
ああ、駄目。腰ががくがく・・・・倒れそう!20年若かったら、こんなのへっちゃらのホイ!やっっちゅうに・・・
心ここにあらず。心ならしも。。。「早よう終わってくれんかいな?」と願ってしまう。
ああ、やっと終わった。
ちょいと目覚めるビートが欲しい!
ここでBEERを持ったバカおじんがhirokoの前を割り込み進んでいく。
BEERを買うために一旦外に出たんやったら、元の場所に戻るのはやめんかい!全く!
おまけに襟元のマイクがポロリとずり落ちる。
おいおいおいおい!
せっかくの「Let's roll」がぁ・・・で9曲が終わる。
10曲目「Powder finger」へと続いて、ニールは此所でブレイクを宣言する。
予期せぬブレイクだった。「10分間休憩するよ・・・」
疲れきった足に更に10分というのはかなり堪える。
ここで、座り席なら水分補給といきたいところだ。
だがこれだけ万満員にギューギューのところから外に出て戻ってこれる保証はない。
しかるに再び身体全器官の不満を「よしよしよしよし」となだめるしかしょうがなかった。15分後ニールが再び登場する。
ギターを金色のレスポールに持ち代えて後半に突入。
11曲目はQUIT(Don't say you Love me)
途中で何かガガガーと言う雑音が耳に付く。
ニールが発しているのか・・・
聞こえかたによると会場の外で銃撃戦が行われているとか・・・・「Let's roll」を聞いたテロリストがむかついて爆弾をしかけたとか・・・
ここはブリクストン。
何が起こっても不思議ではない。
此所でニールと共に爆弾で帰らぬ人になっても本望じゃい!などと馬鹿なことを考えながら
雑念を追い払う。12曲目は再びおNEWから「She’s a healer」
妹のアストリッドが離れてペギーとニールの掛け合いが素晴らしい。
NEWアルバムの中でこの曲がフェイバリットに挙げる人が多いのも頷ける。
13曲目・・・おお!これこそ!私の望むビートだ。「All along the watchtower」
14曲目はたまた新曲「Two old friends」
15曲目に「Mr soul」長らくライブでは見たことがないので、嬉しく乗りまくる!
とうとうラストソングがやってきた。
「Down by the river」
コーラスが冴えて勿論ニールのギターが泣いている。
演奏後、メンバー紹介で、一同はステージから一度退いた。アンコールは「Helpless」でブレイクの入った長いコンサートは終了した。
(We want more!)を連呼するが、ニールは出てこなかった。
ショーは勿論最高だった。
疲れはどへーっと襲ってきた。
足が棒で喉はカラカラ身体はフラフラだ。
でも来た甲斐は十分だ。
男ばかりのステージと違ってやっぱり妹と奥さんがステージに立っていると、ニールはまろやかだ。
ふと先だってのドイツの野外・・・セットリストを思い浮かべると一緒でねぇか?
アンコールが1つ少ないだけの気がする。明日はどんなショーになるのだろうか?明日は2階のシーティングをゲットしてあるので、楽チンだ。
楽しみだなぁ。
1.When You Dance 11.Quit (Don't Say You Love Me) 2.The Loner 12.She's A Healer 3.Differently 13.All Along The Watchtower 4.Sleeps With Angels 14.Two Old Friends 5.Are You Passionate 15.Mr.Soul 6.Goin' Home 16.Down By The River 7.Cinnamon Girl ENCORE 8.Cortez The Killer 17.Helpless 9.Let's Roll 10.Powderfinger
追記
翌日5月22日。
再びロンドンへとニック君の車で降りていく。
丁度ロンドン市内に差し掛かったところでニック君の携帯電話がプルルルルゥー。
「嘘だろ?冗談だろ?・・・・キャンセル?」
後部座席のDrニール君軍団は信じられない面持ち・・・同時にほっとしている奴もいる。
ジム君やリンジーはかなりな巨体である。
昨日の疲れが取れぬまま二日目に突入しているのだから・・・・ニールのドタキャン!
まずは、どんなアーティストもドタキャンは「のどの痛み」を第一広報されるのが常である。
何が起こったのか・・・・サウンドの不調か、やっぱりのどが痛いのか、テロリストからの脅迫か・・・
いずれにしろ今夜はニールはない。
ニック筋では妹のアストリッドはすぐさまオランダにいるシンガーソングライターの友達のコンサートにデュエット出演するから
近日中のスケジュール変更はないだろう。
もう飛行機の中さ!という。
んなあほな。
うちらのチケットは無事に払い戻しされるそうだし、今年の末に変更ということらしい。
エジンバラに戻り、無事に引越しも完了した。
クリス君は今年末だったら、「仮病」だ!
チケットはホールドしておこう。とすっかり行くつもりでいる。とにかくやってくれましたわね。ニール!
日本から参加されて、逃した方、本当に何と申し上げていいやら、ブートでよければおなぐさめいたしますよ。
いつでもコンタクトしてくださいね。hiroko
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