

NILS LOFGREN IN GLASGOW
29,Oct 2004
グラスゴー入りの翌日。
昨夜のジャクソン・ブラウンのソロ・ライブの余韻が残っている。
小雨の降りしきるグラスゴーの町。
さぁ、今夜は久しぶりのニルスだ。
最後に見たのは2001年のアバディーンだった。
しっかりと握手してもらったことが生生と思い出される。
彼のマーケットはUKとドイツである。
残念ながら日本はない。
1996年からほとんど毎年のようにUKツアーを行ってきた。
だが2001年を最後に、ブルーススプリングスティーンのツアー・メンバーとして借り出され、彼としてのソロ・ツアーはひとまず休憩といったところだった。
10月といえば、ブルーススプリングスティーンの呼びかけのVFC(ヴォート・フォー・チェンジ)のライブに最後の最後までご奉仕して、全く休むことなくUKへと飛んできていることになる。
彼のUKツアーの日程を見渡しても、1日足りとて休みがない。
全くタフガイである。
ニルスのメイリングリストに活気が訪れる。
毎日、各地での興奮冷めやらないファンたちの感想が延々と入ってくるようになる。
hirokoにはドイツ女性のニッキーというトレード友達がいるのだが、彼女はブルースの熱狂的ファンだったのが、このニルスの映像を一目見て一目ぼれ。
その後はありとあらゆるニルス関係を集め始めた。
hirokoは本業はNeil Young。
しかるにアーチストこそ違えど、重なる部分、たとえばニールとブルースが同じステージに立つような場合やニールとニルスの場合や・・・といった具合で、音源や映像を逐一交換していたのである。
彼女もhirokoに似たクレージーな女である。
ニルスのUKツアーの日程が公表されるや否や、はるばるドイツから車を走らせてUKの追っかけを強行すると断言した。
幸いにもヨーロッパでは10月は学校が休みになる期間がある。
子供のいるニッキーは子供を連れての追っかけ。
結局彼女はツアーの前半を追っかけることになった。
・・・とまぁ、世の中、上には上がいるもんだと驚いていたら、今度はなんと日本からやってくるという男性からのE-mailが入る。
こいつは凄い、わざわざ日本から・・・ニルスを見に??とおったまげていた。
グラスゴーはカーリング・アポロが今回の会場である。
チケット発売日にインターネットを通してチケットを購入したのだが、その時には全席スタンディング・チケットと確かになっていた。
最近、やはり椅子がないコンサートというのがしんどいお年頃になってきている。
だが、まぁしゃーないなぁ。で、諦めていた。
ところが、会場に一歩足を踏み入れて愕然となってしまった。
会場はステージを前にずらずらずらずらりと椅子が敷き詰められている。
後方にPUBがあり、両側にちょういと腰掛けるところがあるものの、この後方が結局二人の買ったスタンディング・チケットになるではないか!
がぁーん!と大ショックで眩暈を感じた。
俄然不機嫌になるhirokoである。
この場所からはステージははるかに遠い。
まぁ、BGMとして仲間とビールを飲みながら程度のファンならいい。
こちとらマッセルバラから、しかもホテルに泊まってまでも、このライブにやってきたのだ。
ビールを飲みながらBGMを聞くためではない。
PUBでビールを注文し、腰掛のスペースを確保し、一服する。
こうなりゃぁしゃーない。でも腹が立つ。
クリス君は一回りしてくると言う。彼とて信じられない顔つきで、ムカついている。
多分スタンディングの領域でも何とか見えるところを探しにでも行ったのだろう。
ギネスをぐびぐびやりいながらタバコがパカスカ吸っていると、クリス君が大声で呼んでいる。
「来い!早く来い!」と言っている。
「もう!せっかく座る場所を確保したんだぜ!あほちゃうか!このおっさんは!」とますます不機嫌になるhiroko。
ブスッーとすねた顔でクリスの元へ。
何やらスタッフのお兄ちゃんと話をしている。
「hiroko、シート席を確保できたよ!」とニコニコしている。
「えっ?どういうこと?」
「説明したのさ!チケット発売日にスタンディングとしか表示されてなかったってね、そうしたら、シート席で売れ残った席で一番いい場所を交換してくれたのさ」
「でかした!Well Done!」hirokoはクリス君に飛びついた。
かくして、無事に一番前とは言えないが、ブロックの1つ外れた一番前を確保できたのだった。
メイリングリストであらかじめセットリストは把握していた。
今回のツアーは別段これとての新しいものはないようだ。
ブルース・スプリングスティーンの曲を数曲披露している。
オープニングはGun’n ’Runヘビーなタッチで、なかなかいい。
待ってましたのハーモニクス奏法。
しかしまぁ、このギターの音の素晴らしさ、生ギターでこれだけバラエティーのある、表情のある音を奏でられる人はそうなかなかいないものだ。
このNilsはロマンチックな乙女の部分とハードボイルドの部分を両方持ち合わせている。
とろけるような甘い歌詞にめろめろになる女性ファンが多いのも頷けるが、hirokoはNilsのハードボイルドの部分が好きだ。
Nilsは言っちゃぁ失礼だが、歌詞がまったく駄目だ。
だが声がとろける。
女性ファンたちはバレンタインやアイ・ケイム・トゥー・ダンスなどを期待し、男性たちはやっぱり彼のギター捌きを見に来るといった感じである。
ブルーススプリングスティーンからはSeedsとやったぜ!のBecause the Night。
この7月にパティー・スミスがエジンバラに来たのだが、このとき期待していたこの曲が披露されなくって、えらくがっかりしていたhirokoである。
Because The Nightはパティーが詩を書いて、ブルースが曲を乗せた名曲である。
うーん。ニルスのバージョンもなかないいではないか!
hirokoとしてはもうこの1曲で大満足の極み。
息をするのを忘れるほどに凍りつく。
普通どんな上手いギターリストだって、時には押さえた弦の1本や2本がうまく鳴らないときがある。
ところがこの人はいつだって、1本1本の弦の音がクリアーに響き渡る。
しかしこれほどギターを弾きこなせたら、楽しいだろうなぁ。
全体を通して、休みの全くない強硬なUKツアーのスケジュール。
少々ラフな感じがしないでもなかったが、やっぱり彼のギターと声は素晴らしかった。
アンコールはお決まりのI came to Dance。
客席の中から数人かが通路に飛び出し、踊り始める。
驚くほどにあっという間のライブだった。
Set List
1.Gun'n'Run
2.Blue Skies.
3.Wonderful World.
4.You.
5.Life.
6.If I Should Fall Behind.
7.Black Books.
8.Wonderland.
9.Seeds
10.Like Rain.
11.Keith Don't Go.
12.Believe.
13.Goin' Back.
14.Irish Angel.
15.The Sun Hasn't Set On This Boy Yet.
16.Moon Tears.
17.The First Time Ever I Saw Your Face.
18.Because The Night.
19.No Mercy.
20.I Came To Dance.
21.Shine Silently.